トポロジカル量子３体相互作用の解明
量子多体相互作用の中には配位空間（多体波動関数の変数の空間）のトポロジーだけで規定されるものが存在します．その典型例は２次元同種粒子系（エニオン）の２体相互作用ですが，最近になって１次元多体系の３体相互作用も配位空間のトポロジーだけで決まることが判明してきました．しかし，そのようなトポロジカル量子３体相互作用がどのような演算子で記述されるのかは全くわかっていませんでした．
日本大学量子科学研究所の大谷聡助教は，経路積分を用いて１次元のトポロジカル量子３体相互作用を記述する多体ハミルトニアン演算子を初めて構成しました．結果は２次元エニオンの自然な拡張になっており，エニオンと同様，素粒子論・物性物理学・量子情報科学など多岐にわたる分野での応用が期待できます．
本研究成果は日本物理学会が出版する学術誌「Progress of Theoretical and Experimental
Physics」に2023年12月7日付で発表されました．
また本論文はEditors’ Choiceに選出され，JPS Hot Topicsに動画付き解説記事が掲載されました．
なお，本研究はJSPS科研費JP23K03267の助成を受けて行われました．
S. Ohya, “Topologically nontrivial three-body contact interaction in
one dimension,” Prog. Theor. Exp. Phys., Volume 2024, Issue 1, 013A01 (2024)
DOI: https://doi.org/10.1093/ptep/ptad149
JPS Hot Topics: Quantum Mechanics of One-Dimensional Three-Body
Contact Interactions
DOI: https://doi.org/10.7566/JPSHT.4.007
