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日本大学量子科学研究所Institute of Quantum Science, Nihon University

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量子ウォークの確率振幅に対する新公式の発見

量子科学研究所の大谷聡助教は量子ウォークの理論的研究において新たな知見を見出しました.
 量子ウォークはランダムウォークの量子版として1990年代に登場し,現在では量子探索問題や量子コンピュータ,トポロジカル物性など様々な分野で応用が展開されています.このように多岐に渡る応用を見せる量子ウォークですが,多くの場合その中心的役割を演じるのは粒子を見出す確率振幅と呼ばれる量です.ただし,この確率振幅はこれまで主に個別の問題ごとに計算され,その一般的構造は殆ど分かっていませんでした.
量子科学研究所の大谷聡助教は経路積分法で知られている被覆空間の方法を拡張し,軌道空間(商空間)上の量子ウォークに対する確率振幅の一般公式を与えました.この一般公式は粒子の配位空間が軌道空間とみなせる場合は必ず適用でき,今後幅広い応用が期待できます.
 この研究成果は米国物理学会が出版する学術誌「Physical Review A」に2023年6月2日付で発表されました.


S. Ohya, “Quantum walk on orbit spaces,” Phys. Rev. A, vol. 107, 062202 (2023).
DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevA.107.062202

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