結晶分光器を用いたX線分光測定


物質に加速した電子ビームを当てるとX線が放射される。 電子衝突によって原子の内殻電子が電離されるとそこを埋めるように外殻電子が放射遷移をする。 このとき放出される光(X線)は原子固有のエネルギーを持っており、特性X線とよばれる。 Kα線はL殻からK殻への遷移にともなって放出されるX線である。 また連続X線が同時に放射される。 これは制動放射によるものである。

高温プラズマ中の多価イオンにおいては熱的な電子との衝突によって励起とK殻への放射遷移が起こる。 これもX線領域で発生する。 結晶にX線が入射すると原子によって散乱を受ける。 散乱された波の重ね合わせにより

2d sin θ = mλ
を満たすときにだけX線が反射される。 この関係を Bragg の反射条件という。 ここでdは結晶面の間隔、λはX線の波長、mは整数である。 角度θはX線の入射方向と結晶面のなす角度であり Bragg 角とよばれる。

結晶軸を表すベクトルをa,b,cとする。 結晶格子の並進ベクトルを

T = n1a + n2b + n3
とする。 n1、n2、n3の逆数をとって整数で表したもの
h : k : l = 1/n1 : 1/n2 : 1/n3
(hkl) をMiller指数といい、結晶面を表す。

プラズマから放射されるX線のスペクトルを結晶を用いて分光することができる。 平板あるいは凸型の結晶を用いることにより、広い範囲のスペクトルを調べることができる。 この方法では同時に線源の形状を知ることができる。 また、凹型の結晶を用いることにより、X線を集光させて明るく分解能の高い分光ができる。 焦点は Rowland 円とよばれる円の周上になる。


参考書

  • キッテル:「固体物理学入門」、丸善
  • プラズマ・核融合学会:「プラズマ診断の基礎」、名古屋大学出版会

課題

  • いろいろなX線を分光するのに適当な結晶を選び、Bragg 角θを求めなさい。
X線 λ[A] 結晶 2d[A] θ[°]
H-like Ne 12.1
H-like Ar 3.74
He-like Ne 13.4
He-like Ar 3.95
Al Kα 8.34
Fe Kα 1.94
Cu Kα 1.54
Mo Kα 0.71

次の表はいろいろな分光結晶とその格子定数である。
結晶 2d[A]
Mica (002) 19.9
Ge (111) 6.53
Ge (220) 4.00
Si (111) 6.27
Si (220) 3.84
LiF (200) 4.03
LiF (220) 2.85
LiF (420) 1.80

Email: Keiichi Takasugi