高温プラズマのスペクトル


プラズマから放射される光のエネルギーはプラズマの温度、特に電子温度を反映している。 温度が1 keV 程度になると、放射される光はX線の領域になる。

H 様イオンのエネルギー準位は

n = -me42/8ε0222 = -RhcZ2/n2
ここでnは主量子数、Zは原子核の電荷、Rは Rydberg 定数である。 準位がn→n'の遷移にともなう放射は
n - En' = RhcZ2 (1/n'2 - 1/n2) = hc/λ
1/λ = RZ2 (1/n'2 - 1/n2)
となる。

低温のプラズマでは三体再結合が再結合の主要な過程であるが、高温で多価に電離したプラズマでは二電子性再結合が重要になる。 これは電子の熱的なエネルギー広がりが大きく、多価イオンの内殻電子と共鳴的に相互作用する電子が多くなるためである。

e + XZ+ → X(Z-1)+* → X(Z-1)+ + hν
この再結合過程においては内殻電子が共鳴的に励起されるためすぐに放射は起きず、放射遷移によって光が放射される。 一般に自由−束縛間の遷移では連続スペクトルが放射されるが、二電子性再結合過程においては放射遷移が起きるため線スペクトルとなる。

二電子性再結合線は He 様共鳴線(1s2 - 1s2p)に近接して観測され、サテライト線とよばれる。 これは共鳴線と類似した準位間の放射(1s22p - 1s2p2)であるためで、わずかに長波長側に観測される。 サテライト線の放射は電子温度に強く依存し、電子温度の測定に用いられる。


参考書

  • G. Herzberg:「原子スペクトルと原子構造 」、共立出版
  • D. Salzmann:"Atomic Physics in Hot Plasmas"、Oxford

課題

  • n = 1 の準位への放射は Lyman 系列、n = 2 の準位への放射は Balmer 系列とよばれる。 これらの系列で長波長のものから順にα、β、γ...の記号がつけられている。 いろいろなZの H 様イオンからの放射のうち、Lyman-α、Balmer-αのエネルギーおよび波長を求めなさい。
Lα [eV] Lα [m] Bα [eV] Bα [m]
1
2
3
6
10

Email: Keiichi Takasugi