原子過程と平衡モデル


プラズマの生成と消滅、あるいは発光といった現象には電離、再結合、励起、放射遷移などの原子過程がかかわっている。

基底状態1と励起状態2の二準位系を考える。 それぞれの準位のイオン占有密度をn(1)、n(2)、電子密度をneとする。

  • C12:1→2の励起速度係数
  • C21:2→1の脱励起速度係数
  • A21:2→1の放射遷移確率
において、ne << A21/C21の条件で平衡状態において
n(1)neC12 = n(2)A21
となる。 これをコロナ平衡といい、低密度プラズマで成り立つ。

このようなプラズマではZ価のイオンの占有密度nZは基底状態間の電離と再結合によって決まる。

  • SZ:Z価→(Z+1)価の電離速度係数
  • αZ:Z価→(Z-1)価の再結合速度係数
とすると、平衡状態において
Z+1/nZ = SZZ+1
が成り立つ。

高密度の極限では放射遷移が衝突遷移に比べて無視できる。 このときを局所熱平衡といい、励起準位の占有密度はBoltzmann分布になる。

n(i)/n(1) = g(i)/g(1) exp[-E(i)/kTe]
ここで
  • g(i):準位iの統計的重み
  • E(i):準位iの基底状態からのエネルギー

Z価のイオンの占有密度nZはSaha-Boltzmannの式で表される。

Ze/nZ-1 = 2gZ/gZ-1 (2πmkTe/h2)3/2 exp[-IZ-1/kTe]
ここで
  • Z:Z価のイオンの電離エネルギー
  • Z:Z価の基底状態の統計的重み

参考書

  • プラズマ核融合学会編:「プラズマ診断の基礎」、名古屋大学出版会

課題

  • 次のデータは水素およびヘリウムの電離および再結合の速度係数を表したものである。 左から、Teは電子温度、Iは分光記号(電荷Z+1)、IonizはIの状態からの電離速度係数、RecombはIの状態への再結合速度係数、Ratioはそれらの比を表す。 それぞれの速度係数のデータを電子温度の関数としてグラフに表しなさい。
    コロナ平衡における各イオンの占有密度を電子温度の関数としてグラフに表しなさい。

Email: Keiichi Takasugi