巨視的不安定性


磁束の等しい2つの磁力管を交換したときにエネルギーが減少する場合、余ったエネルギーが運動エネルギーとなって変位を増大させる。 このような不安定性を交換型不安定性という。 交換型不安定性の安定化条件は、プラズマの外側に向かって
δ∫dl/B < 0
となることである。 このような磁場を平均極小磁場という。

円筒プラズマにおいて、ソーセージのように軸対象にくびれる不安定性をソーセージ不安定性、あるいはm = 0不安定性という。 このモード数mは方位角方向の成分eimθに対応している。 ソーセージ不安定性の安定化条件は

z2 > Bθ2/2
である。

重力加速度gによっておこる不安定性を重力不安定性あるいはRayleigh-Taylor不安定性とよばれる。 この不安定性の成長率は

γ = √gk
である。 ここでいう重力とは、磁力線の曲率による遠心力であったり、外力を表している。

磁化プラズマにおいては磁力線の曲率がRayleigh-Taylor不安定性の駆動機構になっており、交換型不安性と同じものである。 このとき不安定性は磁力線に沿って溝をつくるため、フルート不安定性ともよばれる。

一方、収縮型のZピンチにおいては、Rayleigh-Taylor不安定性の駆動力は磁気圧であり、これによって爆縮が行われる。 爆縮によって、ちょうど乗り物に乗った人が運動と逆方向に力を感じるように加速度が生ずる。 軸方向磁場がないため、磁力線はθ方向を向いており磁力線に沿って溝ができる。 Zピンチはソーセージ不安定性に対して不安定であり、プラズマが軸上で収束するとこの不安定性が成長する。


参考書

  • 後藤憲一:「プラズマ物理学」、共立出版
  • 宮本健郎:「核融合のためのプラズマ物理」、岩波書店

課題

  • Zピンチのパラメータを見積もってみよう。 初期プラズマをR = 10-2 [m]、I = 100 [kA]、T = 10 [eV]、n = 1023 [m-3]とする。
    • プラズマの圧力p = nkBTおよび磁気圧B2/2μ0を求めなさい。
    • 磁力線の曲率による遠心力F = kBT/Rおよび電子に対する加速度g = F/meを求めなさい。 Zピンチでは磁気圧によって曲率によるRayleigh-Taylor不安定性は抑えられている。
    • 収縮時間t = 10-6 [s]のとき、加速度g = 2R/t2およびk = 2π/Rとしたときの成長率γ = √gkを求めなさい。

Email: Keiichi Takasugi