磁気流体と磁力線の性質


磁場中のプラズマで、イオンの特徴的な振動ωciよりもゆっくりとした現象に対してはイオンと電子とをいっしょにした磁気流体の取り扱いが有効である。 磁気流体の運動方程式は
ρ∂u/∂t = j×B - ∇p
また、一般化された Ohm の法則は
E + u×B = ηj + 1/en{j×B - ∇pe}
右辺の第2項は Hall 項とよばれるが、通常、プラズマ中では密度が高いため無視される。

Ohm の法則は次のように変形される。

∂B/∂t = ∇×(u×B) + νm2
これは磁力線の誘導方程式とよばれ、流体における渦の方程式と同じ形をしている。 ここで
νm = η/μ0
は磁気粘性率とよばれ、流体における粘性率に対応している。 右辺の第1項は対流を表し、第2項は拡散を表す。 第1項と第2項の比
m = UL/νm
を磁気Reynolds数とよび、通常の流体におけるReynolds数と同じく流体の性質を表すパラメータである。 ここでUは流れの特徴的な速度、Lはプラズマのスケールである。

プラズマが静止した場合を考える(u = 0)。 このとき

B/τ = η/μ02
この式は磁場がプラズマ中にしみ込む時間が
τ = μ02
であることを表わしており、η→ 0 の極限でτが無限大になる、すなわち磁力線の移動がなくなることがわかる。 これを磁力線の凍りつきという。


参考書

  • 関口忠、一丸節夫:「プラズマ物性工学」、オーム社
  • F.F. Chen:"Introduction to Plasma Physics and Controlled Fusion"、PLENUM

課題

  • いろいろな磁場における磁気圧を求めなさい。
B [T] 2/2μ0 [Pa] 2/2μ0 [atm]
0.01
0.1
1
10
  • いろいろなプラズマ熱力学的な圧力を求め、上の磁気圧と比較しなさい。ただしne=ni=n、Te=Ti=Tとする。 また、電気抵抗率と磁気粘性率を求めなさい。
プラズマ n [m-3] T [eV] p [Pa] p [atm] η [Ωm] νm [m2/s]
グロー 1016 1
アーク 1024 1
中型トーラス 1018 100
核融合実験 1020 104
Zピンチ 1025 103
電離層 1011 10

Email: Keiichi Takasugi