next up previous
Next: 二乗平均誤差 Up: ランダム誤差とその分布 Previous: ランダム誤差とその分布

誤差の分布

物理現象の観測によって物理量を測定する場合、そこには誤差が入り込む。

  測定  
\fbox{\gt 物理量} $\longrightarrow$ \fbox{\gt 測定値}
$Z$ $\uparrow \uparrow$ $z$
  誤差 $\xi$  
誤差がどのように発生するか、誤差の分布について考える。 誤差が $\xi$$\xi + d\xi$ との間の値に起こる確率を $f(\xi)d\xi$ で表わされるとする。 $f(\xi)$ は誤差の発生の確率密度である。確率であるから、

\begin{displaymath}
\int_{-\infty}^{\infty} f(\xi)d\xi = 1
\begin{picture}(0,0...
...{\includegraphics[height=4cm,clip]{random.eps}}
\end{picture}
\end{displaymath}

を満たすものとする。

次のような偶発誤差について考察する。

  1. 各観測誤差は総数 $n$ 個の根原誤差要素の集まりからなる。
  2. 根原誤差要素は一定の絶対値 $\epsilon$ を持ち、正負両方向に同じ発生確率を持つ。
1回の観測において現れる $n$ 個の根原誤差中 $p$ 個が負で $n-p$ 個が正である場合、誤差の値は、

\begin{eqnarray*}
\xi & = & (n - p)\epsilon - p \epsilon \\
& = & (n - 2p)\epsilon
\end{eqnarray*}

であり、これが起こる頻度は、$n$ 個の中から $p$ 個を選ぶ場合の数であるから、

\begin{displaymath}
_nC_p = \frac {n!}{(n - p)!p!}
\end{displaymath}

となる。 これを$f(\xi)$に比例した量と考える。

同様に $n$ 個の要素中 $p-1$ 個が負となる場合の誤差は、

\begin{eqnarray*}
(n - p + 1)\epsilon - (p - 1)\epsilon& = & (n - 2p + 2)\epsilon \\
& = & \xi + 2\epsilon
\end{eqnarray*}

であり、その頻度は、

\begin{displaymath}
_nC_{p-1} = \frac {n!}{(n - p + 1)!(p - 1)!}
\end{displaymath}

である。 これは $f(\xi + 2\epsilon)$に対応する。

これらの比をとると、

\begin{displaymath}
\frac {f(\xi + 2\epsilon)}{f(\xi)} = \frac {(n - p)!p!}{(n - p + 1)!(p - 1)!}
= \frac p{n - p + 1}
\end{displaymath}

となり、これから

\begin{eqnarray*}
\frac {f(\xi + 2\epsilon) - f(\xi)}{f(\xi + 2\epsilon) + f(\x...
...1} \\
& \simeq & - \frac {n - 2p}n = - \frac {\xi}{x\epsilon}
\end{eqnarray*}

となる。 $f(\xi)$$\xi$ の連続関数とみなすと、

\begin{displaymath}
f(\xi + 2\epsilon) \simeq f(\xi) + 2\epsilon \frac {df(\xi)}{d\xi}
\end{displaymath}

とおけるので、近似的に、

\begin{displaymath}
\frac {\displaystyle 2\epsilon \frac {df(\xi)}{d\xi}}{2 f(\xi)} = - \frac {\xi}{n\epsilon}
\end{displaymath}

したがって、

\begin{displaymath}
\frac 1{f(\xi)} \frac {df(\xi)}{d\xi} = - \frac {\xi}{n\epsilon^2}
\end{displaymath}

$\xi$で積分すると

\begin{displaymath}
\ln f(\xi) = -\frac {\xi^2}{2n\epsilon^2} + C
\end{displaymath}

また、

\begin{displaymath}
f(\xi) = C' \exp \left(-\frac {\xi^2}{2\sigma^2} \right)
\end{displaymath}

ただし $
\sigma^2 = n\epsilon^2
$ とした。 規格化の条件から $C'$ が決められ、

\begin{displaymath}
f(\xi) = \frac 1{\sqrt{2\pi}\sigma} \exp \left(-\frac {\xi^2}{2\sigma^2} \right)
\end{displaymath}

となる。 この誤差の分布関数 $f(\xi)$ が正規分布、あるいはGauss 分布である。

\includegraphics[height=3.5cm,clip]{dist.eps}



Keiichi Takasugi
平成24年2月9日