統計物理研究室


スタッフ

糸井 千岳

  1. 統計物理学、場の理論、数理物理学
  2. 561B
  3. 888

坂元 啓紀

  1. ランダム磁場スピン模型の相転移とレプリカ法、量子準位統計、ランダム 行列理論
  2. 561B
  3. 888

研究概要

 高校で物理を学んだ人が大学に進学して物理を学ぶと、非常に数学的であると 感じることが多いようで。実際、完成された物理学の理論はすべて、数学を使って 構築されています。物理学者達は、自然に存在する物体の運動や、物質の状態など の記述と、起きうることの定量的な予測をできるだけ完全な形で得ようとするため、 理論がどんどん数学化してしまうのです。
 物理の理論において、現象を理解するということにはいろいろな段階があり、 なかにはあまり数学的でない理論も存在しますが、現象の本質を記述するような 完成された理論は、例外なく数学的であるといえるでしよう。たとえば、天体の 運動においてエネルギーの保存則と角運動量の保存則だけで簡単に予測できること はあまり多くないのに、空間中の微分方程式を使えば、時間の関数として天体の位置 を予測できるのです。日食がいつ起こるか予測しようとしたら、どうしても微分方程式 が必要なのです。
 現代物理学の基礎理論である、力学、電磁気学、熱力学、平衡統計力学は19世紀までに ほぼ完成し、相対性理論と量子力学は20世紀前半に完成しましたが、このことは、 20世紀後半以降の物理学者にたくさんの問題を提供することになりました。とくに、 たくさんの物体が力をおよぼしあっておこる現象を定量的に記述し、予測する問題を、 多体問題といいますが、これらを解くことは物理学者を含むあらゆる科学者の理想と考えら れています。しかし、そういった問題は、一般的に解くことが難しく、場の量子論 (量子電磁力学、量子色力学、量子重力理論、その他)など、素粒子や、宇宙のなりたちの 理解のための深遠な問題を考えるとき、現代物坪学の前に障害となってたちはだかってい ます。
 また、それだけでなく、難しい多体問題はきわめて日常的な素朴な疑問のなかにもたくさん 存在しています。たとえば、水分子の間の力がわかったとき、10^23個程度の水分子の運動を 解いて、気圧と沸騰温度の関係を求めるとか、電子やイオンの間の力がわかったとき、 鉄でできた磁石が何度に熱せられたら磁石でなくなるかといった問題は、現代の物理学に とっても未だに答えられないたいへん難しい問題です。また、逆に、たくさんの素朴な問題を 解くために開発された数学的な方法は、深遠な問題にも答えることがあります。
 場の理論の紫外発散の問題などは、くりこみ群という一般的な磁石の問題を解くための 数学的方法によって原理的に解決されました。多体問題を解く数学的方法はこれまで確実に 進歩してきています。
 この研究室では、これらのように素朴だが難しい問題や深遠な問題に立ち向かっていく ための数学的方法を開発するために、もっと簡単な模型の様々な現象をできるだけ正確に より深く理解しようと研究を行っています。現在、低次元電子系、相関があるときのランダム 系の臨界現象を研究しています。

卒業研究

 ☆この研究室で卒業研究を希望する人へ

 受け入れ人数は4名です。卒業研究では、統計物理、数理物理、多体問題などの 教科書をきめて、毎週一回、勉強会を行います。統計物理の講義や演習でやったこと を前提として、もうすこし進んだ内容の勉強や、演習をします。卒研生は、予習して きたことをそこで講義し、それにもとづいてみんなで議論します。毎日、計算の日々 がつづくでしょうが、この研究室の人々はそんな生活を楽しんでいます。この勉強会と                       l』 は別に、自由にテーマを決めて、勉強および研究をし、卒業研究論文を提出します。 テーマの選択は私があたえることも、卒研生が自分で決めることもあります。 いままで、相転移、アンダーソン局在、超伝導、近藤効果、高分子、二ューラルネットワーク、 カオス、遺伝、などが卒業研究のレポートとして提出されています。過去の卒業レポート は研究室(561B)にあるので、参考にしてください。卒業研究の希望を提出する前に、 必ず担当の教員と直接会って、どのように卒業研究を進めるのかを相談してください。
 卒研生の半数以上の人が他大学の大学院に進学しています。また、就職希望の人は 自分の希望の職場に就職をしています。


 ☆大学院進学を希望する人へ

 大学院を受験しようとする人には、自分がどの分野の研究をしたいのかはっきりした 希望を持ってほしいものです。それには、講義や演習を受けたり、教科書で勉強するなど のことはもちろん、科学雑誌、いろいろな学会誌、インターネットなどをみて学術会では どのようなことが話題になっているのかつねに関心を待つべきですし、大学院を受け入れて いる研究室の教員や大学院生、卒研生たちに話を聞きにいったりすることが必要です。 大学院生は学生であると同時に研究者ですので、研究者としての自分の姿をよく考えてみて ください。研究者である以上研究成果によってその学会に貢献することが目標となるので、 自分がなにがやりたいかにくわえて、その研究室で自分はなにができるかということも 考えたほうがよいと思います。この研究室の大学院生は、まず論文や教科書を勉強し、 大学院生やほかの大学の研究者も出席する勉強会で講義をすることから始まります。 勉強のなかから問題を見つけ、最終的な目標は、新しい結果や、新しい理解を得て論文に まとめ、雑誌や学会で発表することです。それは努力、実力、運がすべてそろって達成できる ことですので、やってみないとできるかどうかわかりません。まずは、勉強して、物理および 数学をより深く理解していく過程を楽しむことが重要です。これは、どんな研究者にもいえる ことだと思っています。

原子核・統計セミナー

原子核物理学研究室、物性理論研究室と合同で毎週金曜日、学内、学外を問わず講師 をお招きして「原子核・統計セミナー 」を行っています。関心をもたれる方の自由な参加をお待ちしております。

E-mail: itoi@phys.cst.nihon-u.ac.jp